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タイミング療法

1. タイミング療法とは

タイミング療法とは、医療機関において超音波検査やホルモン検査を行い、排卵日を正確に予測した上で性交渉の時期を指導する治療法です。
不妊治療の最も基本的なステップでありながら、医学的根拠に基づいたアプローチによって、自己流で行うよりも妊娠の可能性を高めることが期待されています。

医師による正確な排卵日予測が成功率を高める理由

自己流の妊活では、基礎体温のグラフや市販の排卵検査薬、スマートフォンのアプリによる計算が主な手段になるかと思います。
しかし、排卵日はストレスや体調、睡眠不足などの影響を受けやすく、予測がずれることも少なくありません。

医療機関では、以下の複数の検査を組み合わせる「多角的なアプローチ」で、排卵という現象をリアルタイムに捉えます。

  1. 経腟超音波検査による卵胞計測
    卵巣の中にある「卵胞(卵子を包む袋)」の大きさをミリ単位で測定します。
    通常、卵胞は1日に約1.5〜2mmずつ大きくなり、約20mm前後に達すると排卵が起こります。
    この「育ち具合」を直接観察することが、最も確実な予測につながります。
  2. 血中・尿中ホルモン測定
    排卵を促すスイッチとなる「LH(黄体形成ホルモン)」の値を測定します。LHサージ(急激な上昇)を捉えることで、排卵の数時間前〜36時間前という限定的な時間を特定できます。
  3. 体のサインから読み解く「排卵の兆候」
    排卵が近づくと、頸管粘液(おりもの)の量や性状など、体に妊娠しやすい変化が現れます。
    診察では、これらの所見を医学的に評価し、検査結果と合わせて「排卵の準備が整っているか」を判断します。

妊娠の可能性が高まる「大切な数日間」の考え方

タイミング療法では、排卵当日だけでなく、その前後を含めた「妊娠の窓(fertile window)」と呼ばれる数日間を重視します。

卵子が受精可能な時間は排卵後12〜24時間と限られていますが、精子は女性の体内で数日間生存することができます。このため、排卵の時点ですでに精子が卵管内に存在している状態が、より受精しやすいと考えられています。

最新の知見(※1)では、排卵当日だけにこだわるのではなく、排卵前から準備を整えることが、妊娠の可能性を高めると示唆されています。タイミング療法は、この時期を医学的な指標に基づいて見極めるための治療です。

成功率の現実と、継続期間の目安

タイミング療法の1周期あたりの妊娠率は、一般的に5%〜10%程度とされています(※2)。
これは人間の生殖能力における自然な数値に近いものです。
大切なのは
「継続による累積妊娠率」です。
適切な指導のもとでタイミングを合わせた場合、4周期〜6周期目までに多くの方が妊娠に至るという報告があります。

ただし、35歳以上の方や不妊期間が長い方の場合は、卵子の質の変化や他の要因を考慮し、この期間を待たずに次のステップを検討することもあります。

 

2. タイミング療法の具体的な流れ

タイミング療法は月経周期に合わせて進めます。ここでは、一般的な1周期の流れを紹介します。

ステップ1:卵胞発育の確認(月経10日目〜12日目頃)

月経が始まってから10日前後で、1回目の受診をしていただきます。
超音波検査で卵胞の育ち具合を確認し、排卵日の予測を立てます。
もし育ちがゆっくりであれば、数日後に再度受診していただくこともあります。

ステップ2:排卵日の特定と性交渉のタイミング(月経14日前後)

卵胞が十分な大きさに達したら、医師から具体的な性交渉のタイミングをご案内します。
状況に応じて、確実に排卵を促すための「hCG注射」や点鼻薬を併用することもあります。

ステップ3:排卵済みの確認と着床サポート

排卵後は、黄体の状態を確認し、必要に応じて黄体ホルモンを補う薬を使用します。
これにより、受精卵が着床しやすい環境を整えます。

ステップ4:妊娠判定(次回の月経予定日以降)

予定日を1週間ほど過ぎても月経が来ない場合、妊娠判定を行います。
尿検査や血液検査でhCGの値を調べ、陽性であれば超音波で胎嚢(赤ちゃんの袋)を確認します。

 

3. 費用と保険適用について

2022年4月より、タイミング療法を含む不妊治療は原則として保険適用の範囲内となりました。

保険診療における負担の考え方

再診料、超音波検査、ホルモン検査、処方薬などは保険診療(3割負担)の対象です。
検査内容や通院回数によって費用は異なりますが、以前に比べて経済的負担は軽減されています。

自費診療となるケース

検査回数や薬剤の種類によっては、自費診療となる場合があります。
その際は、必ず事前に説明を行い、ご理解・ご同意を得たうえで治療を進めます。

 

4. 妊活を支えるパートナーとの協力体制

タイミング療法は、お二人の協力が不可欠な治療です。

日常生活でのコンディション管理

  • 栄養バランス: 赤ちゃんの成長に欠かせない葉酸や、卵子・精子の健康を支える抗酸化作用のある食品の摂取が推奨されます。
  • 睡眠の質: ホルモンバランスを整えるためには、規則正しい生活と十分な睡眠が重要です。
  • 適度な運動: 血流を改善することは、骨盤内の環境を整えることにつながります。

パートナーとの円滑なコミュニケーション

指定された日が心理的な負担になることもあります。
当院では、精子の生存期間を考慮し、無理のない「期間」での指導を心がけています。
治療を「義務」ではなく、お二人で取り組むプロセスとして捉えられるようサポートします。

5. 未来の選択肢を広げる|ステップアップへの考え方

タイミング療法で妊娠に至らなかった場合でも、それは決して無駄ではありません。
次の治療方針を考えるための重要な判断材料となります。

納得感を持って次の一歩へ

一般的には4〜6周期を目安に、人工授精(AIH)へのステップアップを検討します。
年齢や検査結果、ライフプランを踏まえ、最適なタイミングを一緒に考えていきます。

人工授精は、精子を直接子宮の奥へ注入することで、精子が卵子にたどり着くまでのプロセスをサポートする方法です。
ステップアップを検討する主な判断基準は以下の通りです。

  • タイミング療法を一定期間(4〜6周期)継続した
  • フーナーテスト(性交渉後試験)で良好な結果が得られない
  • 年齢やライフプランに基づき、より効率的な治療を希望される

 

タイミング療法は、「排卵日に合わせる」だけの治療ではありません。
自分の体の状態を正しく理解し、医療のサポートを受けながら妊娠しやすい環境を整えていくプロセスです。

私たちは、患者さま一人ひとりが納得して治療を選択できるよう、正確な情報と丁寧な説明を大切にしています。
妊活の第一歩として、どうぞお気軽にご相談ください。

参考文献リスト

 

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